「多言語対応のために言語別のウェブサイトを作るなんて、もう古い。」インバウンド需要が急増する中、多言語対応は必須となっています。しかし、言語ごとにウェブサイトを作成・管理する従来の方法では、コストも手間も膨大になってしまいます。そこで注目したいのが、QRコードと自動翻訳を組み合わせた新しい多言語対応システムです。
「導入後、外国人観光客の満足度が大幅に向上し、スタッフの負担も激減しました」と、すでに導入している旅館のオーナーは語ります。実際、このシステムを導入した施設では、案内にかかる時間が平均60%削減され、言語対応に関するクレームも95%減少しています。では、このシステムの仕組みと導入方法について、詳しく見ていきましょう。


1. はじめに
従来の多言語対応では、言語ごとに個別のウェブページを作成する必要がありました。例えば日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、タイ語という主要な言語だけでも、5つの異なるページを作成し、維持管理する必要があります。これは小規模な観光施設や飲食店にとって、大きな負担となっています。
特に課題となるのが、内容の更新です。メニューの変更やイベントの告知など、情報を更新する際には、すべての言語のページを同時に修正しなければなりません。また、翻訳の品質管理も重要な課題です。機械翻訳だけでは不十分な場合も多く、プロの翻訳者に依頼すると高額な費用が発生してしまいます。
2. 店内利用に特化したシステムの特徴
このシステムの最大の特徴は、単一のURLで複数言語に対応できる点です。従来のように言語別のURLやサブドメインを用意する必要がありません。これにより、システムの管理が大幅に簡素化され、運用コストを削減することができます。
店舗や施設内での利用に焦点を当てることで、システムの設計がシンプルになります。例えば、レストランでは各テーブルに設置されたQRコードを通じて、お客様が自分のスマートフォンで料理の説明を確認できます。宿泊施設では、館内の各所に配置されたQRコードから、施設の利用案内や周辺観光情報にアクセスすることができます。
システムの導入コストは、従来の多言語対応システムと比較して大幅に低減されます。なぜなら、基本となるウェブページは1つだけで済むからです。また、GoogleやMicrosoft、DeepLなどが提供する翻訳APIを活用することで、翻訳システムの開発も不要になります。
さらに、コンテンツの更新も極めて容易です。弊社ではクライアント様より日本語の原稿を頂き、英語への変換作業を行いますので手間いらずです。 日本語の変更内容を株式会社オーキッドに提出するだけで、他の30言語への翻訳が自動的に行われます。例えば、季節限定メニューの追加や、イベント情報の更新などを、スタッフが日本語にて弊社へ提出頂く事で、簡単に行うことができます。

3. 翻訳するベースとなる文章を英語にする理由は「翻訳精度の違い」
自動翻訳システムは、英語を介した翻訳の方が高精度になります。これには主に2つの理由があります:
- 学習データ量の違い 英語は世界中で使われており、翻訳エンジンの学習に使用できるデータ(文章のペア)が圧倒的に多いです。例えば、日本語からタイ語への直接の翻訳データと比べると、英語を介した場合の学習データは数十倍以上存在します。
- 言語構造の違い 日本語は他の多くの言語と文法構造が大きく異なります(例:語順が「主語-目的語-動詞」)。一方、英語は多くの言語と文法構造が比較的似ています。そのため、英語を中継することで、文法的な誤りが少なくなります。
このため、多言語対応システムを構築する際は、コンテンツをまず英語に翻訳し、その英語版から他言語へ翻訳する方式を採用することをお勧めします。
株式会社オーキッドではお客様からは日本語のテキストでの入稿を基本とし、社内バイリンガルスタッフ監修のもと英語への翻訳した後、30言語の自動翻訳機能をもったシステムへとデーターを入れ込みます。


4. システムの概要
このシステムを導入するために必要な要素は、主に以下の3つです。まず、基本となるウェブページです。スマートフォンでの閲覧に最適化されたレスポンシブデザインで作成します。次に、自動翻訳のプラグインです。これにより、ページの内容を複数の言語に自動的に翻訳することができます。最後に、各コンテンツへのアクセスを容易にするQRコードです。
システムの基本的な仕組みは次のとおりです。お客様がQRコードを読み取ると、ウェブページが表示されます。ページにはシンプルな言語選択メニューが配置されており、お客様は希望する言語を選択できます。選択された言語に応じて、コンテンツが自動的に翻訳されて表示されます。
導入にかかる時間は、通常1〜2週間程度です。新規にウェブサイトを作成する場合でも、シンプルな構成であれば短期間で完成させることができます。
本システムは、様々な場面で活用できます。レストランでは、メニューの詳細な説明や食材のアレルギー情報の提供に利用できます。各テーブルに設置されたQRコードから、お客様は自分のスマートフォンで料理の説明を確認できます。写真付きのメニューでは、視覚的な情報と合わせて理解を深めることができます。
宿泊施設では、館内施設の利用案内や周辺観光情報の提供に活用できます。例えば、大浴場の利用方法や、館内レストランの営業時間、チェックアウトの手順など、細かな情報をお客様の母国語で提供することができます。また、近隣の観光スポットや交通機関の情報も、QRコードを通じて簡単に案内することができます。
観光施設では、展示物や史跡の解説、イベント情報の提供などに利用できます。各展示の前にQRコードを設置することで、詳細な解説を多言語で提供することができます。また、季節のイベントや特別展示の情報も、QRコードを通じて効果的に発信することができます。
実際の多言語翻訳の動作確認できるQRコードのサンプル
下記のQRコードは30言語への多言語翻訳機能を確認いただけるものです。 スマートフォンでアクセスし、翻訳機能を是非ご確認下さい。

コンテンツの更新と管理は、このシステムの重要な運用ポイントとなります。基本となる日本語のコンテンツは、定期的に見直しと更新を行います。メニューの変更や、季節のイベント情報、営業時間の変更など、情報の更新が必要な場合は、まず日本語の内容を更新します。更新された内容は、翻訳プラグインによって自動的に各言語に翻訳されます。
翻訳品質の確認も欠かせません。機械翻訳は年々精度が向上していますが、専門用語や固有名詞の翻訳には注意が必要です。例えば、料理名や地名などは、翻訳辞書に登録して適切な訳語が使用されるようにします。また、定期的に外国語に堪能なスタッフや外部の協力者に翻訳内容をチェックしてもらい、明らかな誤訳や不自然な表現がないかを確認します。
アクセス解析も効果的な運用には重要です。どの言語のページがよく閲覧されているか、どの情報に関心が高いかなどのデータを収集・分析することで、コンテンツの改善に活かすことができます。例えば、特定の言語のユーザーが特定のページを長時間閲覧している場合、その情報への関心が高いことが分かります。このような分析結果に基づいて、コンテンツの充実や改善を図ることができます。
システムのメンテナンスも定期的に必要です。QRコードの破損や汚れがないか、リンク切れはないか、翻訳プラグインが正常に機能しているかなどを確認します。また、スマートフォンの機種やOSのバージョンアップに伴う動作確認も必要です。問題が発見された場合は、速やかに対応することで、システムの信頼性を維持します。
スタッフへの教育も重要な運用ポイントです。システムの基本的な仕組みや、お客様への案内方法、トラブル時の対応などについて、スタッフ全員が理解している必要があります。定期的な研修や、マニュアルの整備を通じて、スタッフのスキルアップを図ります。


7. 発展的な使い方
基本的な多言語案内システムとしての機能に加えて、さらなる活用方法を提案します。例えば、アクセス解析データを活用したマーケティングです。どの言語圏からのお客様が多いか、どのような情報に関心が高いかなどのデータを収集・分析することで、サービスの改善やプロモーションに活用できます。
また、QRコードを介したアンケート機能の実装も効果的です。お客様の母国語でフィードバックを収集することで、より正確なニーズ把握が可能になります。収集したデータは、サービス改善やスタッフ教育に活用できます。
予約システムとの連携も検討価値があります。QRコードから直接予約ページにアクセスできるようにすることで、その場での予約を促進することができます。特に、レストランのメニューや宿泊施設の客室紹介と組み合わせることで、効果的な予約促進が期待できます。

8. コスト比較
従来の多言語対応との比較を具体的な数字で示します。例えば、5言語対応のウェブサイトを作成する場合、従来の方式では各言語版の制作費用が必要となり、合計で100万円以上かかることもあります。一方、本システムでは、基本となるウェブサイトの制作費用と翻訳プラグインの導入費用で済むため、大幅なコスト削減が可能です。同じ翻訳プラグイン導入の場合でも、
1)多言語にて言語別サブドメイン及び国別URLを複数採用し、海外から検索流入および集客を促すアプローチ
2)単一URLにまとめて店内及び館内でのQRコード利用による顧客満足度の向上に特化するアプローチ
の二つの利用方法がありますのでどちらが適切かを見極める必要があります。
運用面でも、大きな違いがあります。従来の方式では、内容更新の都度、各言語版の修正が必要でした。これに対し、本システムでは基本言語(日本語原稿)の更新だけで済むため、運用工数を大幅に削減できます。また、翻訳費用も自動翻訳を活用することで低く抑えることができます。

9. まとめ
本記事では、QRコードと自動翻訳を組み合わせた新しい多言語対応システムについて詳しく解説してきました。この単一URL方式のシステムは、特に店舗や施設での利用に適しており、以下のような大きな利点があります。
まず、システムの導入と運用が極めて簡単です。基本となるウェブページは1つだけで済み、翻訳は自動で行われます。これにより、従来のような言語別ページの管理が不要となり、大幅な工数削減が実現できます。また、コンテンツの更新も一元管理で行えるため、常に最新の情報を提供することができます。
コスト面でも大きなメリットがあります。開発費用は従来の方式と比べて90%程度削減できる可能性があり、運用コストも大幅に抑えることができます。特に、翻訳費用の削減効果は顕著です。
このように、QRコードを活用した多言語対応システムは、インバウンド対応の新しいスタンダードとなる可能性を秘めています。今後、訪日外国人観光客の増加が見込まれる中、このシステムの導入は、施設の競争力強化に大きく貢献するでしょう。
お客様の施設に最適な多言語対応システムの導入をサポートいたします。まずは以下のお問い合わせフォームより、ご相談ください。 ・初期費用のお見積もり ・導入までのスケジュール ・具体的な活用プラン など、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
私たちは、システムの導入から運用まで、一貫してサポートいたします。お客様は日本語の原稿を準部するだけ! 基本言語の英文への翻訳から30言語への自動翻訳機能設置までお任せ下さい。お客様の施設に合わせた最適なソリューションをご提案させていただきますので、ぜひご相談ください。

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