2025年1月から3月までの訪日外客数が前年同期比23.1%増の1,053万7,300人となり、累計では過去最速で1,000万人を突破しました。特に3月は前年同月比13.5%増の349万7,600人と、3月として過去最高を記録しています。

第1四半期の主な特徴

  • 中国市場の大幅回復:前年同期比78.1%増の236万4,900人と急増し、全体を牽引
  • 東南アジア市場の成長:特にインドネシア(46.0%増)とマレーシア(43.8%増)が顕著な伸び
  • 中東地域の躍進:前年同期比95.1%増と最も高い成長率
  • 北米市場の堅調な成長:米国とカナダがともに25.6%増と好調

グラフ1:地域別訪日外客数(1~3月累計)

出典:JNTO訪日外客数2025年3月推定値

東アジア地域からの訪日外客数が714万2,200人と全体の約68%を占め、最大市場となっています。次いで東南アジア地域が134万300人、北米地域が90万6,500人と続いています。東アジア市場の回復が全体の成長を支えていますが、多様な地域からの訪日客数が増加していることも特徴です

グラフ2:主要地域・国の訪日外客数前年同期成長率の比較(1~3月累計)

出典:JNTO訪日外客数2025年3月推定値

成長率トップ10を見ると、中東地域(95.1%増)が最も高く、次いで中国(78.1%増)、ロシア(75.8%増)と続いています。東南アジアではインドネシア(46.0%増)とマレーシア(43.8%増)が高い成長率を示しており、イスラム教の断食明け休暇の時期変動が影響しています。北米市場も米国(25.6%増)、カナダ(25.6%増)と堅調な伸びを見せ、欧州からはスペイン(25.5%増)が2024年10月に再開した直行便効果で好調です。インド(24.8%増)と豪州(24.1%増)も2割を超える成長率で、多様な地域からの訪日需要が高まっていることがわかります。

グラフ3:地域別訪日外客数シェア(1~3月累計)

出典:JNTO訪日外客数2025年3月推定値

訪日外客数のシェアは東アジアが67.8%と最大で、東南アジアが12.7%、北米が8.6%、欧州が4.0%、豪州が3.0%、その他が3.9%となっています。東アジア依存度は高いものの、他地域の伸びにより徐々に多様化が進んでいます。

グラフ4:東アジア地域からの訪日外客数分析 2025年1~3月累計

出典:JNTO訪日外客数2025年3月推定値

東アジア地域の内訳は、韓国が250万6,100人(前年同期比7.2%増)、中国が236万4,900人(78.1%増)、台湾が162万3,600人(9.8%増)、香港が64万7,600人(3.9%増)となっています。中国市場の急回復が顕著で、前年の落ち込みからの反動と継続的な日本への関心の高さを反映しています。成都~関西間、北京~関西間など航空路線の増便も訪日客数回復を支えています。

グラフ5:東南アジア地域からの訪日外客数分析 2025年1~3月累計

出典:JNTO訪日外客数2025年3月推定値

東南アジア地域では、タイが36万1,800人(前年同期比11.7%増)と最多で、マレーシアが19万3,000人(43.8%増)、ベトナムが18万8,200人(9.3%増)、フィリピンが21万1,200人(5.2%増)と続いています。特にマレーシアとインドネシア(17万800人、46.0%増)の伸びが著しく、イスラム教の断食明け休暇の時期変更や経済状況の改善が影響しています。インド市場も6万2,100人(24.8%増)と成長しており、ベンガルール~成田間の増便などアクセス改善が寄与しています。

グラフ6:北米地域からの訪日外客数分析 2025年1~3月累計

出典:JNTO訪日外客数2025年3月推定値

北米地域からは米国が71万6,900人(前年同期比25.6%増)と圧倒的で、カナダが15万4,900人(25.6%増)、メキシコが3万4,700人(15.8%増)となっています。米国とカナダは3月単月でも過去最高を記録し、日本への旅行人気が継続しています。東京で開催されたスポーツイベントや春休みシーズンも訪日を後押ししました。

グラフ7:欧州地域からの訪日外客数分析 2025年1~3月累計

出典:JNTO訪日外客数2025年3月推定値

欧州からは英国が11万5,900人(前年同期比13.5%増)と最多で、フランスとドイツがそれぞれ約8万人と続いています。特筆すべきはロシアの2万9,400人(75.8%増)と大幅な増加で、中国経由便の多様化やクルーズ需要の高まりが要因です。スペインも3万5,000人(25.5%増)と好調で、2024年10月に再開した直行便の効果が表れています

インバウンド対策のポイント

訪日外国人旅行者数が急速に増加している今こそ、多言語対応の強化が不可欠です。特に伸び率の高い中国、東南アジア(インドネシア、マレーシア)、中東、北米市場に向けた多言語ウェブサイトの整備をお勧めします。

飲食店や観光地、宿泊施設などのインバウンド関係者は、各市場の特性に合わせた情報発信が効果的です。例えば、インドネシアやマレーシア向けにはハラル対応情報、中国向けには決済手段(WeChat Pay、Alipay)の案内、欧米向けには詳細な文化背景情報など、ターゲット市場に応じたコンテンツ作りが重要です。

訪日客数が過去最速で1,000万人を突破した今、多言語ウェブサイトを活用して潜在的な訪日旅行者にアプローチすることで、さらなるビジネスチャンスを創出できます。特に成長著しい市場に焦点を当て、その国の言語や文化に配慮したコンテンツを提供することで、競争優位性を確立しましょう。

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